恋する彼女の不器用な舞台
内容紹介
私立早久保(はやくぼ)学園は、学生にとってのメインイベントである秋の文化祭に向けて、大いに賑わっていた。――しかし、部員数の少ない通称『弱小部』たちはみんな頭を抱えていた。それは『文化祭で生徒会が与えた課題をクリア出来なければ廃部にする』という厄介な条件を突き付けられていたから。宮国 一悟(みやくに いちご)が所属している文芸部にも通達がやってきた。それは『文芸部の部誌が100部売れなければ廃部にする』というもの。「文芸誌の需要があるなら、部室と部費を提供する意味がある」と生徒会は言う。元は名女優で、現在は同じ文芸部員の幼なじみ・十川 真優(とがわ まゆう)は『わたしの居場所がなくなる』と迷惑がり、現役で作家をしている後輩・七瀬 千奈(ななせ せな)は『文芸部以外に活動したい部活なんてない』と困惑する。しかし、たった3人だけの文芸部員たちは、解決策を見いだせないでいた。そんな彼らの元へやってきたのは演劇部部長・千代田 百花(ちよだ ももか)。「上演実績の無い演劇部は演劇部とは呼べない。今度の文化祭で演劇の上演が出来ないのであれば、廃部にする」という通達が生徒会から出されたものの、演劇部の部員数はたったの2人。舞台上演など到底無理な話。だから──『文芸部に脚本を書いてもらって、出演もしてほしい!』『そして、真優ちゃんには再び女優として舞台に立って欲しい!!』と言う百花。果たして文芸部と演劇部は、生徒会からの課題を無事クリア出来るのか?真優は再び舞台に立つことになるのか?そして、一悟と女の子たちの恋の行方は?さまざまな問題を抱えながらも、文化祭の開催日は刻一刻と迫っていく――