真・燐月
内容紹介
その昔、とある地方は跳梁跋扈する物の怪たちに苦しめられていた。その地を治めていた領主・燐堂一族は妖怪退治に尽力していたが、あるとき、強力な力を持つ一匹の物の怪によって、邪悪な呪いをかけられてしまう。燐堂家にかけられた呪い……それは、男児がまったく産まれなくなるというものだった。易者によれば、その呪いを回避するためには、三代ごとに霊力の強い一族の娘と子供をもうけなければならないという。当時の燐堂家の当主は、妖怪退治の道具を作っていた緋月一族の娘を娶り、無事、男児を授かることができた。以降、燐堂家は緋月家を家臣として重要するようになり、また、三代に一度、緋月家と血を交える役目を負った燐堂家嫡子は「継承者」と呼ばれるようになった――。ときが流れ、現代。燐堂一族の新しい継承者となったのが、燐堂直人だった。いまや巨大財閥となった燐堂一族。その御曹司である直人は、本来ならばいずれは会社を引き継ぎ、順風満帆の人生を歩みはずだったのだが……。しかし不運なことに、彼の相手に定められていた幼なじみの緋月鈴音が、不慮の事故で死亡。彼は急遽、自分の子供を産んでくれる代わりの女性を探さなければいけないハメになってしまった。しかも、近々行われる予定の「緋ノ月祭」までに子供を作らなければ、呪いを打ち消すことは不可能になってしまうらしい。迫る期日に業を煮やした直人の曽祖父・万蔵は、直人にひとつの命令をくだす。緋月の分家筋にあたる、とある美人四姉妹。その中の誰でもいいから、ともかく孕ませてしまえというのだ。まじめでお人好しの三女、鮎美。気が強くで短気な次女、詩乃。無口で感情を出さない末っ子の美津菜。おだやかな人妻の長女、結衣子。娘たちと同居し、そのうちの誰かを期限までに妊娠させなければ、直人は燐堂財閥の後継者の資格を失い、一族から追い出されてしまう。ところが、結衣子以外の娘たちは、直人の後継者としての役目のことなど、まったく知らされておらず……?まさしく呪われているとしか思えないような困難な状況。果たして、直人は継承者の役目を無事に果たし、輝かしい未来を掴み取ることができるのだろうか?