枯れない世界と終わる花
内容紹介
色とりどりの花で埋め尽くされた美しい街。ショウはレンと共にその街を訪ね、喫茶店で働くハルたちと出会う。喫茶店の2階に住み込みで働かせてもらうことになったある日、深夜にひとり出て行くハルを追いかけて行くショウ。街から遠く離れた、見渡す限り花に囲まれた丘の中央でショウは、月明かりで淡く輝く大きな樹の下、ハルに抱かれた小さな女の子が花になる瞬間を目にしてしまう。ショウに気付いたハルは、咲き乱れる美しい花たちに目を細めて寂しそうに微笑む。「こんな世界で、わたしはこうやって生き永らえて来たの。でもわたしはまだ生きていたい。他人の命を引き換えにしてでも」ハルと同じように舞い散る花びらを見上げながら、『この世界が何を押し付けようと。どれだけの人がハルを許さないと言ったとしても―』その言葉の代わりに、ショウは告げる。「―それでも俺は、こんな世界の終わりを願うよ」