時間封鎖
☆ストーリー
6年制の学園に通う主人公・浅河翔太は特技らしい特技もなく、
趣味らしい趣味もない、どこにでもいる平凡な学生だったが、
いつの頃からか他人と異なる性癖――淫辱願望を持つようになった。
しかし、その欲求は理性によって抑えられる程度のもので、
日々の生活に何ら支障はなかった。
そして5年生の秋、そんな淡白な日常に変化が起こり始める。
両親の離婚をきっかけにして姉妹二人暮しをしていた真藤家に居候したり、
絶縁状態だった幼馴染と数年ぶりに言葉を交わしたり、
クラスで人気者の女の子と親しくなったり、そんな有り得ない出来事が続くと、
さらに信じられないことが起こった。
「――おまえの、おまえだけの世界を与えてやろう」
どこからともなく聞こえてきた囁きとともに――時間が止まった。
羽ばたく鳥たちは空に縫い付けられ、流れる水は一瞬で固体と化した。
翔太を除く全てのモノが活動を停止していた。
それは余りにも異質で異常な光景だったが、数分後には何もなかったかのように、
停止した瞬間から再び時を刻み始めた。
以降、その現象が何度も起こったことで翔太は
自身に時間停止能力が発現していることを悟り、
さらに部分解除(時間停止中、翔太が触れた対象の時間停止を任意で解除すること)を発見すると、
「これを使えば、石のように固まっているヒトの身体を元の状態に戻せる」
しかも自分が望む相手だけを――
その時、理性で抑えていたはずの願望が、静かに湧き上がってきたのだった。
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