☆ストーリー
どこかで見たような世界。
どこかで聞いたような者達。
けれど、誰も知らない物語。
夜は混沌と戦乱の時代。
戦う力を持たぬ者達が騎士に縋り、騎士は従える王にその身を捧げ、
王は民の為に己が力を振るう。
それはアーサーの測位をきっかに戦いの口火が切られる事となる。
だが、アーサーは数多の戦場を駆けめぐり、敵対する全ての王に勝利し、
自身を含めた12人の王の頂点に立つ。
先代の血を引き台座から剣を抜いたアーサーは、
王足り得ると勝利をもって王国中に知らしめた。
そして時代は平穏へと移り始める。
奪う戦いから育てる戦いへと、国を守るために剣ではなく政治が力を持つ時代へと。
隣国の姫と結婚をしろ。
アーサーとログレスを導き続けた女魔道士マーリンは、
従える王に対してさえも命令口調でそう告げた。
彼女の数多の助言を受け入れてきたアーサーだったが、今回ばかりは飲めないと頑なに拒む。
だが国の平和を強固なものにするため、どうにか政略結婚を推し進めたいマーリンは、
彼がなぜそこまで抵抗するのあを考えた。
導き出された結果は、「女性に慣れてないから怖いのだろう」というものだった。
一国の王がそんな有様では困ると半ば呆れたマーリンは、
この際我が主には人並みの女性経験でも積んでもらおうかと、ある計画を思いつく。
幸いアーサーの周りには、円卓の騎士として名高く、
人間的にも充分魅力的な女性達が何人もいた。
あとはほんの一押しさえあれば、艷を帯びる関係に転じる可能性も充分にある。
そしてその一押しが、作為あるもので悪い道理はどこにもない。
――なんだか、面白くなりそうだ。
状況をそう動かすのは紛れもなくマーリン自身なのだが、
その流れがことのほか興味深くなりそうな事実にほくそ笑んだ。
その笑がもたらす悲劇と喜劇を知る者は、まだ誰もいない。
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12+(トゥエルブプラス)
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