神聖にして侵すべからず
内容紹介
これは、世界で一番ちっぽけな国の話。
首都圏の片隅にある街、猫庭(ねこにわ)の一角に建つ城のようなお屋敷。
重厚なレンガ塀に囲まれたそこが、彼女が治める小さな王国だった。
王国の主である彼女を含めて国民は三人。
まるで子供のごっこ遊びの延長のような家、もとい国。
そんな国の住人であり従者兼コックのような立場の僕。
朝食を作り、弁当を詰め、洗濯物を干し、家庭菜園の手入れをし、
そして彼女のお供として通学する。
そんな日常が変わることなく続いていく。
そう思って疑わなかった、とある年の夏を境として、
僕も、彼女も、彼女の王国も、
何もかもがゆるやかに、変わっていこうとしていた。
これは、世界で一番ちっぽけな国の話。
ちっぽけな僕達のひと夏を描く物語だ。