肉壺学級
内容紹介
主人公は、一般的な学園に通う普通の男子学生。何もかもが平凡で平均でイヤになるくらいだったが、ひとつだけ変わった点があった。それは、やたらとモテモテなハーレム体質でしかも「うっかりエロハプニング癖」のある親友がいることだった。そいつの名前は、風凪・司(かざなぎ・つかさ)。男子学生の制服を着ているのに、学園中のどの女の子より可愛いと評判で、男子女子問わず滅多に他人から嫌われないというパーフェクトな優等生だった。そんな司の周りには、いつも誰かしら女の子がいるのだが、中でも6人の女の子は周囲から「司ガールズ」と言われるほどあからさまに司を狙い、取り合っていた。そんなライトノベルの主人公のような親友に比べて自分はと言えば、明らかに脇役顔の脇役属性。昔から何かと頼られがちで、訊かれたことには何でも答えられるようになりたいと事前に調べたりしているうちに、年頃の男女のことに詳しい事情通になってはいたが、それこそ脇役の人生そのものだ。そんな自分を慰めながらも諦めつつ、「主人公」な親友のために脇役をやろうかと思っていたある日、主人公のもとに、運送業者の誤配で謎の荷物が届いた。名字と名前を逆に書いてしまったために間違えたのだろう。そして主人公もまた、間違えて開けてしまった。中には――謎の注射器、複数の茶色の瓶(中には液体)、手錠、拉致・監禁の手引き書、監禁の作法書、解錠装置(使い切りタイプ)、チェーンを切る用の工具、簡易催眠装置など、尋常ならざるグッズセットが揃っていた。見ると、箱の内側に「強制調教セット」と書かれていた。警察に届けようかと考えた時だった。司から、メールと添付された写メが届いた。その困ったような、しかし愉しそうなハーレム写真をみたとき、主人公が心の奥に閉じ込めて忘れ去ったはずの、どす黒く鬱屈した気持ちが急激に噴き出してきた。俺とコイツの、なんという差。格差。どうしようもないほどの格差だ。「ハーレム体質」とかいう訳の分からない説明では納得できないほどの格差。好みの子にかぎって、司に群がる。そんな格差を毎日近くで見てきたのだ。もういいだろう。一人くらい……いや、『そのハーレム。くれ。どうせ、また新しい女たちが湧くだろう。なら……くれよ』――。