夏の色のノスタルジア
内容紹介
昏睡から覚めると、主人公・折口諒人は、世界が色づいて見えた。居候していた伯母の家の都合で、諒人と妹の美羽は3年ぶりに生まれ故郷の「灰土町」に戻ってきた。そして5月という半端な時期に、「ひまわり学園」へと転入することになる。「わぁ──なにこれ」季節は5月。まだ早いにも関わらず、学園の通称の元になったひまわり畑には、大輪のひまわりが咲き乱れていた。「ねぇ──知ってる?」「季節はずれのひまわりは、生徒たちに幸運をもたらすんだって」だが教室は望外の幸運に沸き立つでもなく、静かなものだった。諒人は、彼らにどんな色も認めることができなかった。かつて仲良しだった女の子たちとの、3年ぶりの再会。人里離れた学園を舞台に、友人たちとの穏やかな時間が流れていく。こんな生活がいつまでも続くものと、誰もが思っていた。そう……永遠に。3年前の夏、仲良しのグループはバラバラに砕けてしまった。その砕けたカケラの一つ一つを拾い集めたとき──壊れた少女たちが胸に抱く闇、そして愛に、諒人は触れることになる。