超・秘湯めぐり
内容紹介
主人公・山能堅介は、失業中の元山岳カメラマン。仕事柄、鄙びた温泉宿に泊まることが多く、温泉には一家言あると口にしていたことから、後輩が女将をしている『豊四季旅館』へ招待されることになった。女将は、懐かしさから呼んでくれただけだったのだが、つい嫌みを言いに来たライバル旅館の一人娘、沢渡心海に、「温泉や旅館に、プロ並みに詳しい人が来た」と言ってしまった。沢渡心海は、学生ながら『ホテル沢渡』の経営を任されている沢渡グループの会長の一人娘。買収と経営統合の手腕だけでこの地方随一の温泉旅館にしたものの、それ以外に関しては素人同然の彼女は、真に受けたどころか「温泉旅館の経営再建のプロが来た」と勘違いをしてしまう。以来、買収に失敗したことへの「リベンジ」と称して行われる心海のイタズラや嫌がらせは、すべて主人公の周辺で行われることになったのだった。頭を悩ませていたイタズラ問題から解放された女将は喜び、主人公に旅館にとどまってほしいと願ってきた。失業中の無職である主人公は断れず、日々、旅館を見回り、ちょっかいを出してくる心海やその友だちを追い払ったり、話を聞くのがもっぱらの仕事となったのである……。