キミの声がきこえる
☆ストーリー
受験結果の貼りだされた掲示板の前で、俺、飯塚直也は立ちつくしていた。
「そ、そんなバカな・・・・・・」
手にした受験票に書かれた番号と、掲示板を何度も見比べる。
1487番。
ない。まったく、ない。
目の錯覚か、宇宙人の仕業に違いないと信じて、俺はもう一度掲示板を見なおした。
「・・・・・・ない」
呆然。そして紙くずとなった受験票を、俺は破り捨てた。
その俺の両肩に、暖かい手が置かれた。
「我がとも、直也よ。お前もか・・・・・・」
左型に手を置いたのは、稲垣政宗。
メガネでひょろっとした顔に、道場と微笑を浮かべていた。
中学以来の腐れ縁で、今回の受験ではもしの結果を無視した
難関大学を受けまくって全滅している。
「判るっ、判るぞ!おまえの気持ちっ!」
左肩に大きな手を置いて涙を流しているのが、酒井健太。
一見して往路レスラーにしか見えない、いかつい男だ。
スポーツ推薦で大学受験したにも関わらず、
名前さえ書けば通る筆記試験に落ちた、剛の者である。
「お、お前らと一緒にするなっ。俺は、堅実に勉強して確実な受験校を選んで──」
政宗が、眼鏡をキラリと光らせた。
「しかし、結果はおなじだろーに」
健太が、ウンウンと頷いた。
「俺は浪人するぞ。先祖も浪人だったらしいからな!おれも浪人になる運命だったんだ!」
・・・・・・どういう理屈だ。
俺は、反論する元気もなく歩きだした。
ふと、目の前に見知った少女の顔を見つけた。
何故か、不安そうな顔をして俺を見つめている。
「あれ?敷島、お前もここ受けてたのか?」
「う、うん。・・・・・・す、すべりどめにね」
どこに出しても恥ずかしくない美貌と、鋭利な頭脳。
我がクラスメートにして高嶺の花。
そんな敷島桜と俺の間には、本命とすべりどめの暗くて深い川が流れている。
俺は、ため息をついた。
「じゃ、受かったんだな。おめでと」
「そ、そうだけど・・・・・・な、直也は?」
「顔・・・・・・みりゃわかるだろ?」
俺は、全力で情けない顔をしてみせた。
持つべきものは友達というべきか、健太と政宗も、
全力で受験失敗をジェスチャーしてくれた。
有り難くて涙が出そうだ。
「・・・・・・そっか」
敷島は、まるで自分が落第したみたいな顔で目を伏せた。
せっかくの合格をおれたちが台無しにしたみたいで気が引ける。
「合格おめでと、敷島。来年、俺が入学したら後輩としてかわいがってくれ」
俺は、最大限の努力でそういうと、敷島に背を向けた。
敷島が何か言った気がしたが、俺の耳には届かなかった。
──サクラチル
俺は、少しだけ泣いた。
そして、新たな一年が始まろうとしていた。
浪人を決めた俺は、政宗、健太と同じ予備校に通う事になる。
しかし、まさかこんな波乱の一年になるとは、
この時点では全く予測もできなかったのである。
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オープニング(OP)デモ動画
☆ちょこっとひとこと
AXLは本当に80点を出すのが上手いブランドはないと思う。
平均点以上だけど100点は出ないみたいな。
これもそんな感じ(´・ω・`)_y─┛~~
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