デュエリスト×エンゲージ
内容紹介
そんなある日、父――粟津義仲が亡くなったという報せを受ける。征斗の両親は、彼が生まれる前に離婚している。
父は母を捨てて出て行った。由緒ある家柄を守るために……。密かに征斗は父を憎んでいたが、葬儀には出席した。
数日後、父の秘書だったという人――倉橋龍子が尋ねてくる。彼女は、征斗に粟津家の跡取りになって欲しいと言う。
粟津義仲氏は、卑劣な裏切りにより失脚し、非業の死を遂げた。彼の遺言により、征斗が財産の全てを相続することになっている。
しかし、その大半は借金であり、征斗には拒否する権利もある。もちろん、拒否する征斗だが……
「そうなると、この家も手放していただくことになります」
征斗は知らなかった。産まれた時から暮らしてきたこの家と、母が経営するカフェが、父の借金の抵当に入っていたことを。母はこの家と店を、とても大事にしている。なのにどうして抵当に……
「相続しても、借金は借金なんでしょう? だったら、店は守れないじゃないですか」
「征斗様は、ご自身に許嫁がいらっしゃることをご存じですか?」
「え?」
寝耳に水とはこのこと。龍子は続ける。もし、その相手と結婚すれば、粟津義仲氏の隠し財産を相続することができるようになり、家も会社も安泰。果ては、粟津家の再興も夢じゃない。
「ちょ、ちょっと待ってよ! 急にそんなこと言われても……」
「いいえ、待てません。何故なら、あなたのフィアンセは、もうすぐ来日するからです」
「来日って…………なに??」
遠くヨーロッパの島国、コラングレイン公国の名門貴族ソレイユ家のご息女。ヴィオレッタ・ソレイユ姫は、すでに日本へ向けて出立していたのであった。
――心の整理もつかぬまま、征斗はヴィオレッタと対面することに。初めは乗り気ではなかったが、彼女の美しい姿にまんざらでもないご様子。そんな、まんざら気分をへし折るように姫様は言う。
「そなたが私のフィアンセか。ならば剣をとれ!」 持ってるわけないし!
いきなり文化の壁(カルチャーショック)に阻まれる若い二人。しかし話はそれだけじゃ終わらない。ヴィオレッタと征斗の縁談を巡り、動き出す運命の歯車。
ぞくぞくと集まってくる、花嫁候補たち。
同じくコラングレインの名門貴族のご令嬢、エーリカ・フランベルジュ。学園のご隠居姫こと花京院椿。幼なじみの槙野萌菜香も黙っちゃいない! そしてもう一人、そんな征斗を陰から見つめる少女の姿も……。
果たして征斗は、無事結婚できるのか? そもそも彼は、結婚したいと思っているのか?征斗のフィアンセの座をかけて、乙女たちのたおやかで熱いバトルという名のフィアンセ争奪戦が始まる……。 縁談の行方やいかに……?
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