揺り籠より天使まで
内容紹介
かつて越えた曠野(あらの)を、諸人(もろびと)が歩んでいく。
寄る辺を無くした騎士が死ぬ。
戦うべき戦場を奪われ。
信じていた奇跡は起こらず。
祈るべき神に嗤(わら)われる。
主を亡くした天使が還る。
寄り添うべき騎士に命じられ。
わかりましたと悦んで。
肉の一片も残さず咀嚼(そしゃく)される。
それでも。
なおも祈り続けるのならば。
その囁きに屈したならば。
踊れ踊れ、神の被造物。
狂え狂え、己が願いに。
いつか気づく、その日まで。
――――――時は現代、国は日本。
切通ヒロは、漫然と日々を過ごしていた。
鈍らない程度に稽古をして、害のないよう授業を受ける。
目的のない生活に、少しずつ心が腐っていく。
だが、仕方ないことだと納得もしていた。
約二年前、日常ではない世界の産物、騎士骨格を受け継いだ。
その時から続く突発的な破壊衝動は迷惑極まりない。
外面に出さないように我慢はできるし、自覚もする。
俺は、迷惑をかけるだけの屑だ、と。
自らを嫌いながら、それでも選び取った道と後悔はしない。
けれど期待も抱くことはなく、学園へと通う。
道すがら、騎士骨格の警告に辺りを見回す。
映った人影に、目を見張る。
屈託のない笑顔に、意識が凍る。
陽炎のように消え失せたその少女を皮切りに、戦いが始まる。
ヒロは本来あるべき場所、非日常の世界へと踏み込んでいく。
けれどそれが本当の居場所かは、まだわからない。
私はただ、あなたを想い続けることしかできないのだから。
知られなくとも、わからずとも。
――――揺り籠より天使まで、愛は絶えぬ其の身より。
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