放課後の不適格者
内容紹介
私立秋華学園は秋を迎えていた。一年生はようやく学園生活に慣れ、二年生は学園生活を謳歌し、そして三年生は卒業を控えて学園生活を懐かしむ。そんな季節。常盤イツカも、秋華学園に通う学園生の一人だった。学年は三年生。サッカー好きのどこにでもいるような平凡な少年だった。彼は友人達に囲まれて、ごく当たり前の生活を送っていた。幼馴染みの双子の姉妹、夕顔と朝顔。同じサッカー部に所属していた親友の純。長い付き合いの悪友、康介。まとめ役の委員長、奏。担任の国語教師、栞。特別な事など何一つなかったが、楽しくも幸せな毎日を送っていた。だが、ある日を境に彼らの生活は一変する。クラス全員で参加した合唱コンクールの帰り道、彼らは正体不明の一団に出会う。この出会いが、イツカ達の運命を大きく捻じ曲げていく。イツカ達の生活は大きく変貌していく。あたたかく平凡な日常から、寒々しく血生臭い非日常へ。それは絶望と悲しみだけで織り上げられた、いつまでも終わる事のない悪夢だった。その悪夢の中でイツカは次第に追い詰められていく。平凡な少年の精神は悲鳴を上げ、救いを求めて彷徨い続ける。しかしその悪夢の中にあるのは、イツカの手に染み込んだ罪と罰だけ。救いなど、どこにも存在していなかった。イツカは破滅に向かってただ歩き続ける。長い時間をかけて、多くの人々と築き上げてきた絆と想い出を、自らの手で粉々に打ち砕きながら。