黄雷のガクトゥーン&SHINING NIGHT セット
内容紹介
さらに2作品のセットに加え、ノベルアンソロジーブックが付いた『電子書籍付き』も登場!!
★☆ノベルアンソロジーブック☆★
5名のライター×5名のイラストレーターによって、過去から現在までの学園都市とそこでそれぞれに輝く若者たちの姿を描き出す。
●収録作品・参加メンバー
『欺瞞の竜』…桜井光&千枚葉
『What a shining league』…鋼屋ジン(Nitroplus)&Lem
『朱紅きプレリュード』…森瀬繚&文倉十
『朧藍のムーンシャイン』…禾刀郷&霧生実奈
『幼虫夢寐』…加納京太&東麻姫
※ご注意
「ノベルアンソロジーブック」はリフロー型電子書籍となります。
【収録作品】
■□黄雷のガクトゥーン□■【ソフ倫受理番号:0006040D】
20世紀初頭、1908年。
知られざる世紀、知られざる世界。私たちのものとは異なる19世紀を歩んだそこには、無数の蒸気機関の姿があった。
異常発達した蒸気文明によって世界のあらゆる空は灰色に染まり、海さえ黒に染め上げられていた。
海──
黒い海。かつては青かった海は、今は、黒く暗い。
欧州フランス王国のかつての港湾都市マルセイユもまた、黒く、暗い色の海であったが、世界の他の海と異なるものがそこにはあった。
巨大な要塞の如く堅牢な大型人工島、それは、都市であって、同時に華やかな‘‘学園’’でもあった。
正式名称は、マルセイユ洋上学園都市。
先端的機関科学に基づいて形作られた都市であり、世界最高の碩学を生み出すための学園であり、華やかなる蒸気文明によって汚染された海の上にあって、
汚染された空の下にあって、けれどもそこは、青春を謳歌する若者たちの輝きで満ちていた。
失われた太陽を思わせる活力と熱意に溢れて、失われた星々を思わせる美しさを煌めかせて。
けれど、学園都市には、フランス政府さえ恐れるひとつの‘‘秘密’’があった。
すなわち、学園は欧州全土の闇を統べる秘密結社「西インド会社」の支配下にあるという事実。
欧州のどんな国家組織でさえ学園都市の全貌を明らかにはできず、介入は許されず、各国首脳はただ密かに静かにその動向を見つめるしかない。
完全閉鎖された絢爛の学園。
唯一、‘‘卒業’’の形でしか学生たちが出ることを許さない都市。
統治会「フラタニティ/ソロリティ」と呼ばれる西インド会社の下部組織によって支配された、外部の干渉の一切を拒む若者の園。
誰も開くことはできない、秘密の園。輝ける才能の数々と恐るべき異能とを生み出し続ける、華やかなる世界の歪み。
けれども、1908年。
そこに、ひとりの青年が姿を見せる。
統治会への反抗を口にする彼は、こう名乗った。
「ニコラ・テスラ。72歳。転校生だ」
「マルセイユ洋上学園都市10万の学生諸君。運命に呪われたお前たち、全員」
「──私が、この手で、救ってやる」
そして、ディフ塔の鐘が鳴り響く。
学園都市に歓喜の時を告げる‘‘ガクトゥーンの鐘’’が──
■□黄雷のガクトゥーン SHINING NIGHT□■【ソフ倫受理番号:0006418D】
1909年、4月。欧州、マルセイユ洋上学園都市。
先端的機関科学に基づいて形作られた都市。世界最高の碩学を生み出すための学園。
華やかなる蒸気文明によって汚染された海の上にあって、汚染された空の下にあって、けれどもそこは、青春を謳歌する10万人の若者たちの輝きで満ちていた。
失われた太陽を思わせる活力と熱意に溢れて。
失われた星々を思わせる美しさを煌めかせて。
──学園都市最初の転校生、ニコラ・テスラが訪れてから実に1年が過ぎていた。
輝きは失せることなく、『薔薇の瞳』事件の記憶、すなわち、学園都市の空を覆った邪悪なるものの野望の記憶も学生の記憶からは徐々に薄らぎつつあった。
輝きは瞬く。
輝きは続く。
それこそ無数に、数限りなく。
若く瑞々しい輝きたちは時に触れ合い、寄り添って、日々を繋いでいく。学生のみで自治・運営される学園都市は、大小さまざまな変化を受け入れて、緩やかに形を変えながらもその輝きをは絶えることがない。
けれど、1909年4月某日。
彼らを見つめる静かにして幽明なる瞳があった。
灰色に覆われた空を、黒に染められた海を、そして、輝きを放つ若い命たちを見つめる鋼鉄と水とを混ぜ合わせた《硬く柔らかな瞳》が──
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