僕は天使じゃないよ
内容紹介
舞台は震災の影響まだ色濃い大正末期から昭和初期の東京…希望に満ちた華やかさもいつしかズルリと腐り落つ。出口の見えない不景気とジワリと近づく軍靴の響き。時代はくだんの『漠然とした不安』にドロリと沈み込みゆく。社会不安は知識人に重大な知性の危機をも引き起こした。深刻な自己喪失に直面した彼らは刹那の刺激に逃げ場を求める。麻薬のように刺激を渇望し、酸鼻極むる倒錯の世界へ身を投じる男女の狂態。不安を仮面に隠した紳士淑女が群がるサドマゾ恍惚の宴。打てども打てども、この絶望は消えぬ。ひたすら堕ちゆく、投げ込まれし小石の如く。甘美な『死』の誘惑と、苦渋に満ちた…しかし決して捨てえぬ『生』への執着。表裏一体の自己愛と自暴自棄。退廃の鈍い光に照らされ浮かび上がる、エゴの歪みのグロテスクな美しさを見よ。悦虐の果てに魂の救済はあるのか?人間の業に刃を突き立てるSMゲームの新しいアプローチ。表現の全てが未体験の世界。退廃に彩られた絢爛なる舞台。まるで踊るように人物が絡み合う。彼らのたどる数奇な運命。醜悪さに潜む背徳的な美しさ。反道徳的であることへの快感。初めて体験する混乱と興奮。徹底した唯美快楽主義。原画・キャラクターデザイン:さっぽろももこ、音楽:BIGたあぼう/さっぽろももこ、シナリオ:うつろあくた。『檸檬 影絵亭ノスタルジヤ 』『かなりあ三部作』のSTAFFによる、新感覚、ダウナー系エンターテイメント。初体験の違和感に嫌悪を抱きながらも、貴方はこの妙(たえ)なる残酷から目を逸らせない。